【No.6】ロス改善の進め方② その他の改善

 その他の改善の進め方として、ここではQCストーリーとDMAICを紹介しましょう。

QCストーリー

 問題解決のプロセスや手順として、もっとも普及しているのがQCストーリーです。初心者でもある程度問題解決ができる問題解決の定石として浸透しています。もともとは、改善内容を報告書にまとめたり発表するときに用いられていましたが、実際の改善活動でも有効だと認識され、QCストーリーとして普及しました。

ステップ1:テーマ設定 職場内の数多い問題の中から、このテーマを取りあげた理由を明確にします
ステップ2:現状把握 事実をさまざまな角度(不良現象の観察・発生状況のデータ)から詳細に調査し、悪さ加減を把握します
ステップ3:目標設定 特性値、目標値、解決までの期限を定めます
ステップ4:活動計画作成 役割分担を明確にして、テーマ完了までの運営方法を決めます
ステップ5:要因解析 悪さを引き起こす要因を洗い出し、再現テストなどを行って検証します。真の原因を見つけ出す重要なステップです
ステップ6:対策立案と実施 対策を複数立案・評価して、実施します
ステップ7:効果確認 実施した対策の効果を評価します
ステップ8:歯止め(標準化と管理の定着) 確認された効果を維持できるように標準書を作成します。必要な教育・訓練、管理図やグラフを活用して、特性値を管理します



DMAIC

 最近は、リーン・シックスシグマというリーン(JIT)とシックスシグマを融合したDMAICという改善のステップを活用しているところもあります。ステップによっては、考え方やポイントの置きどころに多少の違いはありますが、ロスを改善するという目的は同じです。

 DMAIC(ディーマイク)はシックスシグマの中で使用される問題解決手法です。
D:Define=定義
M:Measure=測定
A:Analyze=分析
I:Improve=改善
C:Control=管理

と呼ばれる5つの改善ステップで、問題解決に最適なアプローチを取って進めます。DMAICでは、とくに定義段階での問題整理が重要視されます。

ここでは、主な内容を中心としたステップ表を掲載します。

DMAIC(ディーマイク)

次回から「ロス別の改善ステップ」を取り上げます。


●著者プロフィール

大塚

大塚 寛弘 (おおつか のぶひろ)

日本能率協会コンサルティング
生産コンサルティング事業本部トータルコストマネジメントユニット
プロセス・デザイン革新センター
兼 設備管理イノベーションセンター チーフ・コンサルタント

日本プラントメンテナンス協会入職後、主に金属製品製造、電気・電子部品製造、輸送用機器、食品・飲料、製薬・医薬、製紙などの生産性向上、コスト低減、品質向上のテーマに取り組む。現場目線と経営目線の両面でのコンサルティング支援を行う。国内および海外の支援企業多数。現在はTPM全般、原価管理/原価低減、品質改善、IE、工場レイアウト計画、購買・調達など幅広いテーマに取り組んでいる。



鐘ヶ江

鐘ヶ江 克則(かねがえ かつのり)

日本能率協会コンサルティング
生産コンサルティング事業本部 プロダクションデザイン革新センター
兼 設備管理イノベーションセンター センター長
兼 デジタルイノベーション事業本部 スマートファクトリー推進室 チーフ・コンサルタント

大学卒業後、電気メーカーの生産技術者を経てJMACのコンサルタントに。生産戦略、生産方式、設備管理を専門領域とし、国内・海外の製造業において生産性改善、コストマネジメント、不良削減、在庫削減、リードタイム短縮など数多くのプロジェクトを支援。 現在、高度設備保全技術の研究及び設備保全業務のDXについて取り組んでおり、関係執筆も多数。

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