中島 昭博 Akihiro NAKAJIMA

中島 昭博 (なかじま あきひろ)

日本能率協会コンサルティング
プロフェッショナルアドバイザー
TPMコンサルタント

人が育つ組織力が「自律型人間」を育成する

◆改善活動は結果重視よりもプロセス重視

 生産現場で製品を生産するには、品質(Q)、原価(C)、納期(D)の3つの要素が求められる。製品の三要素であるQCDを向上させるには、それぞれの要素ごとに現在の状況を把握し、改善目標を立てて全員で組織的に向上活動を展開していく必要がある。 
 また、顧客を満足させるとともに企業利益の創出に貢献していくことが求められている。そのために生産の4Mと呼ばれている人(Man)、モノ(Material)、設備(Machine)、方法(Method)に対して種々の管理を効率的・経済的に行っていくことが非常に重要となってくる。  
 生産の4Mはモノづくりにおける要因系(インプット)であり、製品の三要素は結果系(アウトプット)である。結果系を良くするために、モノづくりの基盤の構築、改善・改革、管理レベルの向上が必要であり、結果管理よりもプロセス管理を重要視することをモットーとしている。さらに、すべては人の意識と行動が結果を生み出すため、人財育成を最重点課題と認識している。

◆現場力を高めるには「やる気と意識改革」が必要

 現場こそが企業価値を生み出す主役である。どんなに素晴らしい戦略をもって活動しても、「現場」がしっかりと機能しなければ成果は出てこない。だからこそ現場力を高める必要がある。どんなに優秀で知識豊富な人でも「やる気」(自主性・情熱)と「意識」(ものの見方・考え方)が弱体化していれば力は発揮されない。だからこそ意識改革と行動改革こそが重要であり、時間は掛かるが、生き残っていくためには最重要課題として展開していく必要がある。 
 「やる気」はほとんどの人が持っているので、再生(蘇らせる)して「意識」を改革すれば、仕事力と組織力は大きく飛躍するとともに活動も活性化する。そのためには挑戦すべく課題を与え、直面する状況に対応して課題達成を目指すことが重要となる。その過程でいろいろ仕掛けていくことで、やる気と意識が変わってくる。これこそが体質改善と考えている。

◆階段状の成長と成果は、人財育成の目標と考え方が大事

 何のために人財育成をするのか、どんな人財を育てたいのか、目標を明確にする必要がある。各社いろいろな言葉で人財育成の目標を表現され、育成を実践されているが、それで従業員の考え方・行動が変わるのか、会社が変わり続けていけるのか、甚だ疑問が残ることが多々ある。 
 運転・保全技能、改善ツール、専門知識、基礎学力、資格といったことは教育や学習することで習得はできる。これだけで十分とはいえず、思考力、判断力、表現力、実行力といった、自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動するという主体性を育てることが必要である。  
 さらに基本的な生活習慣、思いやり、公共心、マナー、規律性といった人間性も大事である。こういったことを踏まえて日常の中で人財育成をしていく必要があると考えている。大事なことはものの見方、考え方、基本的なことは教えるが、仕事経験の中で自ら考えさせ、力を発揮させるようにすることである。

■ 中島 昭博 プロフィール
◆専門分野:生産技術支援
◆TPM: 個別改善、自主保全、品質保全、教育訓練

大手印刷会社において製造現場のオペレーターを経験した上で、生産技術担当として改善・研究・開発に携わる。その後、現場課長、品質管理課長、事業部のTPM事務局を担当。さらに本社で全社TPM推進室長、研修センター長を経て、2005年よりコンサルタントとして現在に至る。研修センター時代より、意識改革・行動改革を目的に「教えるのではなく考える研修」を企画・実践して体質改善に繋げてきた。また、5Sや組織の活性化等にも力を発揮している。

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