油圧・空気圧編:【第82回】油圧制御弁① 圧力制御弁:リリーフ弁

 油圧制御弁は、油圧回路において油圧・流量・方向を制御することにより、油圧シリンダーや油圧モーターの発進・停止、速度、方向、作動順序などを制御する役割があります。

 油圧制御弁は、

  1. 油圧装置の圧力を制御する「圧力制御弁」
  2. 流量を制御する「流量制御弁」
  3. 方向を制御する「方向制御弁」

の3つに分類できます。

 各制御弁の種類および特徴などについて述べます。

圧力制御弁

 圧力制御弁は、「油圧回路の圧力を一定に保持する」「回路内の最高圧力を制限する」「主回路より一段低い圧力に減圧する」「回路内の圧力が一定以上になるまで流れを遮断する」など、圧力を制御する弁です。

 圧力制御弁には、機能によって以下のような種類があります。

  • リリーフ弁:回路全体の圧力が設定値以上に上がらないようにする
  • 減圧弁:一部の回路だけ主回路より低い圧力にする
  • シーケンス弁:ある圧力に達したら次の回路に流体を送る
  • アンロード弁:一定の圧力でポンプを軽負荷運転状態に切り替えて損出を減らす
  • カウンターバランス弁:重い負荷の自重落下を防いでシリンダー下降を安定させる

 なお、各弁には直動形とパイロット作動形があります。今回は、リリーフ弁の構造・特徴について説明します。

リリーフ弁の構造・特徴

 リリーフ弁は油圧回路内の圧力が設定圧力に達すると、弁が開いて圧油の一部または全量を戻り側に逃がすことで、油圧回路が異常圧力になることを防止して、装置の保護をする役目を持っています。

■直動形リリーフ弁

 直動形リリーフ弁は構造が簡単で比較的小型ですが、チャタリングおよび圧力オーバーライドが悪いため、低圧で小容量向けの安全弁として使用されます。

直動形リリーフ弁の断面図

■パイロット作動形リリーフ弁

 パイロット作動形リリーフ弁は、回路内の余剰油を逃がす流量制御部と、圧力を調整する圧力制御部で構成されています。油圧バランス構造のためチャタリング現象が小さく、圧力オーバーライドも小さいのが特徴です。

パイロット作動形リリーフ弁の断面図




<ひとくちメモ> 「チャタリング」「圧力オーバーライド」とは

チャタリングとは、急激な作動圧力が上がったり下がったりする際に、弁座を叩く細かい振動のことです。圧力オーバーライドとは、リリーフ弁が設定圧力で開き始めた後に、実際の流量が十分になるまでに必要となる余分な圧力のことです。



◆Q&Aで理解度チェック!

Q1 油圧制御弁は、「圧力制御弁」「流量制御弁」「位置制御弁」に分類できる
Q2 リリーフ弁は、安全弁として広く使用されている

A1 ×:位置制御弁ではなく、方向制御弁です。
A2 〇:題意のとおりです。


■福田洋市
◆専門分野:設備保全支援
◆TPM:個別改善、自主保全、計画保全、品質保全、教育訓練、管理間接、安全・衛生・環境

輸送機器メーカーにて製造、保全、安全衛生等の部門で多くの資格を取得しながら経験を積んだ後、工場長として会社統合、工場再編成、生産統合、海外工場支援指導等にあたる。さらに、生産アドバイザーとして生産システム整備や若手人材育成などに携わり、2022年より現職。豊富な実務経験に基づいた、保全技能や改善手法の教育をベースとする人財育成に手腕を発揮している。

福田洋市についてもっと知る >

 前へ

油圧・空気圧編:【第82回】油圧ポンプ④ ピストンポンプの種類と特徴