段取り替え時間を定量的に把握しよう!

段取り替え改善の必要性を再確認!

国内の生産形態が少品種大量生産から多品種少量生産に移行するとともに、消費者ニーズが多様化したことによって、製造現場における段取り替えの回数が必然的に増加しているのが現状です。そのため、段取り替え改善に取り組むわけですが、「なぜ必要なのか」の理解がなければ、なかなか改善が進まないのが実情だと思います。そこで、まずはその必要性を再確認してみましょう。

❶生産性が悪化する

段取り時間が増加することにより「設備総合効率」が低下し、その結果として生産性が悪化してしまいます。

❷不良や手直しが増加する

段取り替え方法(変化点)の改善および標準化の遅れから、不良や手直しが増えてしまいます。

❸標準時間が設定できない

ベテラン社員が減り、経験が浅くスキルが十分とは言えない人たちによる作業が増えているため、段取り替えの標準時間が設定できない状況が生まれています。

段取り作業があると、設備の稼動を妨げるとともに、人手不足や手待ちが発生して、生産を滞らせることになります(下図)。そのため、段取り替え改善が必要になるのです。

「段取り作業」がもたらす悪影響

段取り替え改善の一般的な課題

段取り替え改善の必要性を再認識したうえで重要になるのが、問題となる段取り替え時間の実態をしっかり把握することです。そこで、多く見られる段取り替え改善の一般的な課題を、以下に整理してみます。

  • 段取替え作業の手順・作業方法・作業者のスキルに関する問題点が把握されておらず、すべてが作業者任せのままになっている(作業標準化および作業訓練が行われていない、または十分ではない)
  • 治工具の形状や精度・機構の問題点が把握されていない
  • 設備の維持すべき精度と調整の関係が整理されていない

段取り替え時間が生産に及ぼすロスを定量的に把握しよう!

生産を大きく阻害する段取り替えの改善に取り組むためには、段取り替え時間の定量的な把握が不可欠になります。1回当たりの時間は短いが回数が多い段取り作業、回数は少ないが1回当たりの時間が長い段取り作業など、さまざまなケースがあると思います。

まずは、自職場の段取り替えに関する回数や1回当たりに要する時間を調べて、生産への影響度を知るところから始めてみましょう。


佐藤 光信プロフィール
◆専門分野:工程改善支援
◆TPM:自主保全、個別改善

佐藤

2013年から国内外企業のコンサルティングで活躍中。さまざまな業種業態の製造現場におけるTPMの導入やリスタート企業のサポート、技能伝承に関する仕組みの構築などに携わっている。また、前職での経験を活かして幅広いテーマで公開セミナーや社内教育の講師なども務めている。明確で切れの良い言葉と、わかりやすい表現による支援で、クライアント企業から大きな信頼を得ている。


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