慢性ロス対策に有効な「PM分析」はホントに難しいのか⁉

慢性ロス対策がうまくいかない原因は?

慢性ロスに悩んでいる現場は少なくありません。そのような現場では、次のような点が多く見受けられます。

  • 慢性ロスの現象が定まっていない
  • 慢性ロスの要因抽出に抜けがある
  • 対象設備についての知識が不足している
  • 加工原理、動作原理、測定原理がわかっていない
  • 対策が重点指向になっている

みなさんの現場に当てはまる点はないでしょうか?

「PM分析」が難しいのは物理的解析のせい⁉

「PM分析」とは、現象(Phenomena)を原理・原則(Principle)に従って物理的(Physical)に解析し、現象・設備のメカニズム(Mechanism)を解析・理解し、4M(Machine/Method/Material/Man)との関連性を追求する要因解析の考え方です。

慢性ロスの対策に非常に有効なのですが、多くの現場では「PM分析は難しい」と、その活用に二の足を踏むケースが多く見られます。

「PM分析」の特徴として、現象と要因の間に「物理的解析」を適用することで論理性があることがあげられますが、この「物理的解析」が高いハードルとなっているようです。設備の機構・構造、部品の機能や加工原理などの深い理解が必要となるからでしょうか。しかしながら、加工や設備に強くなることで物事を原理・原則に従って理屈で考える能力や、バラバラの要因を系統立てて展開・整理する習慣・能力が身につき、不良の出ない条件設定を行えるようになります。確かに簡単ではありませんが、繰り返すことで必ずできるようになります!

そこで、「PM分析」を実践するときのポイントの中から、『PM分析は手法ではなく、見方・考え方なので、スタッフだけでなく管理監督やサークルリーダーもPM分析的な見方・考え方ができるようになることが大切』というアドバイスを贈らせていただきます。

「良いPM分析の3ヵ条」を達成しよう!

図に「PM分析」の手順の概要を示します。

「PM分析」の手順概要


この図の流れに従って「PM分析」を進めていくのですが、一発で慢性ロスを撲滅することは難しいかもしれません。しかし、繰返し「PM分析」に取り組むことで、必ず慢性ロスを撲滅する力が身につくはずです。現場のみなさんの力を合わせて、継続した取り組みを実践してほしいと思います。

最後に、「良いPM分析の3ヵ条」を紹介します。この3ヵ条の達成を目指しましょう!

❶思考のプロセスが正しいこと
 ・論理的なつながりがあり、要因の漏れがないこと

❷欠陥摘出のプロセスが正しいこと
 ・各要因の欠陥の許容値の設定が正しいこと
 ・測定方法に間題がないこと(基準面のとり方など)きかかかた
 ・復元・改善方法に問題がないこと

❸結果が良いこと
 ・慢性ロスがゼロになっていること

慢性ロス撲滅は非常に難しいテーマですが、上記の3ヵ条を実現している現場が数多くあるのも事実です。現場が一丸となって難しいテーマを克服することで、新たな一歩を踏み出すことを祈っています。


藤井 雅司プロフィール
◆専門分野:生産技術支援
◆TPM:個別改善、自主保全、品質保全

藤井

大手総合化学会社で工場内電気設備管理、システム設計・プログラミング業務等に従事後、大手半導体製造会社でTQC推進、QC教育、地区QCサークル活動幹事、TPM優秀賞・継続賞等のTPM推進、JIT生産推進に携わる。コンサルタントに転身後も、多くの業種・業態におけるTPM推進支援に加えて、書籍「『8の字展開』で進める品質保全」執筆のほか、「なぜなぜ分析」「PM分析」「QC手法」をはじめとする社内教育や公開セミナー講師でも非常に高い評価を得ている。

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今津 博志 Hiroshi IMADU