【第2回】チョコ停とは②

チョコ停の影響は大きい

生産現場の自動化の経緯は、まず工程ごとの「点の自動化」から始まり、材料から部品完成までの「線の自動化」、次に材料から製品までの「面の自動化」さらには原材料入庫から完成品出荷までの情報を含めた「立体の自動化」とった具合に、高度化・知的化・複雑化されてきた。

このように自動化の進展が情報のリアルタイム化とともに、ちょっとしたチョコ停を広範囲に影響を及ぼさせるようになってきた。現に、自動化率が高いほどチョコ停発生が多い傾向がある。

そのため、無人や少人運転を目指しているにもかかわらず、チョコ停とそれに伴う不良品、それらを処置・復帰するために人を配置しているといったムダが発生している。加えて早く処置しようとし、チョコっと手を出し、挟まれ・切傷・火傷・感電などといった災害を引き起こすことにもなる。つまり、チョコ停=チョコ手=災害になるのである。

さらには、チョコ停を嫌うためにマシンサイクルタイムを長くし(作動を遅くし)生産能力を下げるといったことにもつながっている。

以上、チョコ停の影響をまとめると、
①設備の持っている固有能力が充分に発揮されず、
②無人化・自動化を阻害し、
③不良品発生、災害の温床、生産能力の減少、ムダなエネルギーの発生などにつながる
ということがあげられる。つまり、チョコ停の影響はとても大きいのである(①)。

①チョコ停の影響

チョコ停ゼロのメリットを認識しよう

チョコ停の件数や時間は少ないかも知れないが、チョコ停は他の問題を誘発し、実際のロスとしては非常に大きいものである。ロス・コストマトリックス(②)などを用い、チョコ停ロスのコストへの影響度合いを見ると、意外と驚くものである。
 チョコ停がゼロになった場合のメリットを算出し、チョコ停の影響度を再認識することが重要である。

②コスト・ロス構造のマトリックス(例)

コスト・ロス構造のマトリックス(例)

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著者プロフィール

TPMコンサルティング事業本部 顧問
和泉 高雄(いずみ たかお)

1984年 日本能率協会(JMA)入職。日本プラントメンテナンス協会、JIPMソリューションを経て、2013年にJMAC取締役、19年から現職。国内外の工場・ものづくりの現場のコンサルティング、審査は100社以上。専門分野のPM分析、個別改善、自主保全、品質保全に加え、TPM全般の教育にも定評がある。共著に『TPM展開プログラム・加工組立編』『PM分析の進め方』(いずれもJIPM)、編著に『チョコ停改善はこうやれ!』(JMAC)、雑誌への寄稿および講演多数。全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC16007)、国際公認経営コンサルティング協会認定コンサルタント(CMC)、TPM Award審査委員。早稲田大学理工学術院非常勤講師。

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