【第6回】チョコ停の捉え方④

チョコ停の測定と算出

チョコ停と設備総合効率

 設備を動かさなければならない時間(負荷時間)に対し、どれだけ有効に使われたかを判定する尺度として設備総合効率(OEE : Overall Efficiency of Equipment)がある。これは時間稼動率と性能稼動率(正味稼動率と速度稼動率の積)と良品率の積で計算する(①)。稼動上の問題、性能(スピードと持続性)上の問題、品質上の問題を明らかにするものである。

 このなかでチョコ停・空転は、性能稼動率の持続性を見る正味稼動率に影響を与えるものである。

①設備総合効率の計算方法

設備総合効率の計算方法

チョコ停・空転時間の求めかた

 一般的に製造現場では、チェックシートや日報にチョコ停件数をカウントしているが、チョコ停・空転の時間はわかりにくい。そこで正味稼動率によって時間を求めることになる。

(1) 正味稼動率

 正味稼動率とは、単位時間内において一定スピードで稼動しているかどうかを浮き彫りにするものである。設計や基準スピードに対して早いとか遅いではなく、たとえスピードが遅い場合でも、そのスピードで長時間安定稼動しているか否かを見るものである。これによってチョコ停・空転ロスに代表される日報に現れない小トラブルによるロスを算出することができる。

(2) チョコ停・空転時間の計算

 次に実際にチョコ停・空転時間を計算してみよう。
まず、正味稼動率は以下の式によって求められる。

正味稼動率=(実際CT×加工数量)/稼動時間 × 100 (単位%)

実際サイクルタイムを0.8分、1日の加工数は400個とし、図表2-4より、故障・段取り調整などの停止時間は60分、負荷時間は460分とすると、

正味稼動率=(0.8分/個 × 400個)/(460分-60分) ×100=80%

となる。したがって、チョコ停・空転時間は、稼動時間(460分-60分)のうち正味稼動以外の時間であるから

(460分-60分)×(1-0.8)=80分

となる。

 または、正味稼動時間の分母(460分-60分)から分子(0.8分/個×400個)分子を引きくことでも算出できる(400分-320分=80分)。

チョコ停時間の計算
著者プロフィール

TPMコンサルティング事業本部 顧問
和泉 高雄(いずみ たかお)

1984年 日本能率協会(JMA)入職。日本プラントメンテナンス協会、JIPMソリューションを経て、2013年にJMAC取締役、19年から現職。国内外の工場・ものづくりの現場のコンサルティング、審査は100社以上。専門分野のPM分析、個別改善、自主保全、品質保全に加え、TPM全般の教育にも定評がある。共著に『TPM展開プログラム・加工組立編』『PM分析の進め方』(いずれもJIPM)、編著に『チョコ停改善はこうやれ!』(JMAC)、雑誌への寄稿および講演多数。全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC16007)、国際公認経営コンサルティング協会認定コンサルタント(CMC)、TPM Award審査委員。早稲田大学理工学術院非常勤講師。

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