【第4回】チョコ停の捉え方②
チョコ停の特徴
(1) 処置が簡単なために抜本的対策がされない
チョコ停が発生しても、その処置は簡単なためにロスとして見逃されやすく、問題として顕在化されにくい。そのため、その場の処置は行うが、抜本的な対策が打たれないまま放置されがちである。
(2) 種類により、また同一種でも発生状況が異なる
チョコ停は製品・部品の種類によって発生したり、しなかったりする。同一製品でも日によって、また設備によって発生状況が異なる。こうした事情のため、チョコ停はどうしても見逃されやすい。
(3) 発生部位や発生形態が変化
チョコ停には、その発生部位が移動する特徴がある。ある部位に集中的に発生していたかと思うと、別の部位に集中的に発生したりする場合も多く、その正体がつかみにくい。これは、ある部位に集中的に発生しているチョコ停にさまざまな対策を施した結果、その部位のチョコ停は減少するが、あわせてほかの部位でもチョコ停が発生し、全体にみると改善されていないというパターンである。
発生形態を見てみても
- 慢性的に発生している場合
- 慢性的に発生しているチョコ停に突発的なものが同時に発生している場合
がある。
2は、部品不良や治具の取付け不良などによって慢性的に発生しているチョコ停に突発的なチョコ停が付加され、チョコ停発生件数が増えたり減ったりとバラツクものである。
(4) 発生を定量的に把握することが困難
チョコ停の発生部位・回数・処置の時間などを定量的に把握することは一時的には可能であるが、継続することは困難である。稼動率計の設置、または単一設備で人員を常時張りつけていれば測定可能だが、設置がなかったり、オペレーターの設備の多台持ちや複数工程を担当している場合は、持ち台数の関係から記録をとることは困難である。
したがって、正味稼動時間からチョコ停・空転時間を推定することになるが、件数・回数はまでは判明しない。
(5) チョコ停は慢性ロスにつながる
チョコ停には以上のような特徴があるが、この点から
- チョコ停は慢性ロスになりやすい
- チョコ停は放置されたり、その改善をあきらめていることが多い
ということがいえる。
慢性ロスと突発ロスの違いを①に、慢性ロスがなくならない背景を②に示す。
①突発ロスと慢性ロス
②慢性ロスの背景
TPMコンサルティング事業本部 顧問
和泉 高雄(いずみ たかお)
1984年 日本能率協会(JMA)入職。日本プラントメンテナンス協会、JIPMソリューションを経て、2013年にJMAC取締役、19年から現職。国内外の工場・ものづくりの現場のコンサルティング、審査は100社以上。専門分野のPM分析、個別改善、自主保全、品質保全に加え、TPM全般の教育にも定評がある。共著に『TPM展開プログラム・加工組立編』『PM分析の進め方』(いずれもJIPM)、編著に『チョコ停改善はこうやれ!』(JMAC)、雑誌への寄稿および講演多数。全日本能率連盟認定マスター・マネジメント・コンサルタント(J-MCMC16007)、国際公認経営コンサルティング協会認定コンサルタント(CMC)、TPM Award審査委員。早稲田大学理工学術院非常勤講師。